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2005/02/28

周助にいさんのお誕生日ですね(いちおう)。
おめでとうございます!!


ひさびさに日記にお絵かき。
今週のザンプのブリチはなんだ大変トキメイタ。
乱菊ねえさんがたまらなく素敵だ。



2005/02/27

帰ってきました。
なんというか、とにかく楽しかった。
趣味があって気のあう人と旅行すると、
こんなに楽しいものなのかと思いました。
夜行バスやらフロ・トイレ別素泊まりやら、
ますらおっぷりを発揮した旅程を組んだ上、
四泊のうち三泊で酒宴(サバト)を催しました。
鳴門のすだち酒がほんのり甘くて飲みやすく、
一泊目は小瓶を、三泊目は大瓶を空ける始末。
二泊目の金稜のにごり酒も、大変美味しかった。
呑みメインの旅ではなかったのですがイヤハヤ。

鳴門の大塚国際美術館は、各国の美術作品を陶器の板に印刷してあります。
正直なところ色物を見るつもりで伺ったのですが、そんなものではなかった。
原寸大の陶板にわわっと四方を囲まれると、表し難い迫力を感じました。
3150円と高額な入館料なんですが、払う価値は十二分にあると思う。
マニアックなところでは壺絵の平面展示が大変面白く楽しかった。
「私たちが興味があるのは壺ではなく絵なんです」と言い切った
チーフマネージャーさんに心の中で拍手喝采をおくりました。
他に良かったのは丸亀の猪熊弦一郎美術館、岡山のオリエント美術館でしょうか。
特にオリエント美術館は、300円という良心的な入館料に似合わない充実っぷり。
シリアの壺や皿の動物モチーフを多用したデザインにめろめろと見入りました。

濃密な旅にございました。



2005/02/20(2)

話が飛びまくるので分けてみた。
明日から一週間、旅行に出て参ります。
四国・美術館を巡る旅。マニアック。発案者です。
大塚国際美術館みて猪熊弦一郎美術館みて金毘羅の高橋由一みて直島の現代アート郡みて、岡山の県立美術館みてオリエント美術館みて倉敷の大原美術館をみます。
その他にお城なんかも見てきますがメインは美術館です。
四国は近代〜現代の美術作品が多い気がします。
高知にはやなせたかしの美術館もありますし。
お国柄でしょうかね?すてきだと思う。

そんな訳で、21日〜27日にかけて更新やメールの返信など全て停止します。
たのしんできます。



2005/02/20(1)

PC本体から変な音が聞こえたら、
データを別の媒体に確保した方がいい。

何かカタカタ鳴ったなー?と思った2分後に、
画面がとつぜんブラックアウト、そのまま沈黙。
データも全てふっとびました。ぎゃあ……!!!!
ハードディスクの物理的な故障が原因だと診断され、
二万円(痛)払ってとりあえずPCは正常な形に戻りました。
店の兄さんはハードディスクは消耗品だ仕方ないよと言った。
そんなん初耳だってのよ。



2005/02/17

夢破れたり。
うん、だろうとは思った。
それでも凹むもんは凹む……。
ちくしょうめ。5年後を見ていやがれ。
と書いておくことで自分を縛ってみるつもり。
あああああああ、ムカツク!!自分に!!!!



2005/02/16
(リョーマ×海堂) *劇場版ネタバレにつき大丈夫な方のみ以下反転してください*

 無造作に体重を預けてきた背中は見た目そのまま、とても小さくて、いっそ壊れてしまうのじゃないかと思う程だった。人の両腕を掴んで、胸の前でぎゅっと抱き込む姿は自分勝手でワガママなように見えるけれど、今はなぜだか、体温にすがる子供の仕草に思えた。お陰でいつものように振り払うことが出来ない。
 生意気で傍若無人。小憎たらしい後輩は、いつだって神経を逆撫でしてくれる存在だ。けれど、それでもそのままが良いと、海堂は思った。そうでないと自分まで調子が狂って仕方ない、と。チッと小さく舌打ちをすると、海堂はされるがままになっていた腕に自分の支配を取り戻す。胸でぎゅっと海堂の腕を抱いていた越前は、突然の抵抗に一瞬だけあっけにとられたような顔になると、すぐにムッと唇を曲げた。本当に、おかしいほど今日の越前の鎧は脆い。その原因を思うと海堂は胸が苦しくなるように、感じた。自由になった両腕で、ゆるく越前を抱き込む。後ろから包み込むようにすると、越前の肩も背中も簡単に海堂の内側に入ってしまう。12歳の子供の、まだまだ発展途上の身体だった。
「きもちいい」
 海堂が腕をまわした瞬間ぴくりと跳ねた体は、けれど直ぐに力を抜いて、ふたたび海堂に背中を預けた。その声は鎖骨のあたりに載せた頭から骨を伝って海堂のからだに響く。越前の、溜め息のような気の抜けた声に、海堂も表情をなごませた。
 まるで冗談のように船が沈んでしまって、それでも何とか救助されて。着の身着のままズブ濡れたまま、巻き込まれた中学生の青学一行は警察に保護された。大掛かりな賭博に関わったことから、形ばかりではあったが全員が事情聴取を受けることとなり、結果、予定外のもう一泊を強制された。着替えが与えられ、警察署内の柔道場に布団が用意され、そして現在に至る。「合宿みたい」と菊丸が漏らした一言で、一行は少し笑った。けれど、物々しい場の緊張感とひとつ違えば死んでいたかもしれない事態の大きさに、どうしても息の詰まるような感覚が抜けていない。
 格子のはまった窓から射し込む月明かりが、眠る彼らを照らしている。夢のなかでも顔をこわばらせた者が少なくない。海堂はその光景を眺めながら、壁に背を預けて、越前は海堂にもたれていた。薄い布ごしに、お互いの体温がまざりあう。海堂は、胸にのった小さな頭に手を置いた。そして静かに髪を梳く。
「今日は優しいっスね」
 丁寧に動く手を上目使いにちらりと眺め、越前が海堂をからかうように笑う。それでも海堂は怒る気にはならない。心持ちうつむいて、兄だと言い張るひとから受け取ったオレンジをもてあそぶ後輩はどう見ても、傷付いて拗ねている子供だった。言葉とは裏腹に、海堂の手のひらに頬をよせてくる。貪欲に体温を求めるしぐさ。突然現れて再び消えた、越前をそのまま大きくしたような人物は、越前の弱いところを剥き出しにしたらしかった。
 海堂は詳しい事情を知らなかったし、特に知りたいとは思わなかったが、奇妙に幼い今夜の越前を突き放したいとも思えなかった。保護欲を刺激されるような気すらした。つかの間の兄か、内心畏怖する父親か、越前が自分を誰かと重ねているのがぼんやり分かっても、別に良いかと思えてしまう自分自身が不思議だった。
「ねえ、オレが好き?」
 軽くみじろぎして越前は海堂を見上げる。猫のような仕草に、海堂は口の端をほころばせた。尊大にふるまうくせに不安な気持ちが揺れる越前の視線は、息が詰まるくらい重い。冗談めかした問いがひどく真剣なことを海堂は知っていた。そして、知っているからこそ、裏腹な応えを返す。
「嫌いだ」
「ふーん。オレは海堂先輩が好きっスよ」
「言ってろ」
 冷ややかな受け答えに越前は、からだにまわされた長い腕に自分の手を重ねて、更に近くに体温を寄せた。たとえ海堂が違う応えをしていても同じだっただろう。越前は不安だったし、思うままに操れない言葉よりも、すぐ傍にいて伝わる温度のほうが何倍も説得力があった。いつも通りの海堂の言葉は、むしろ越前を落ち着かせる。強すぎる刺激の連続に荒立った心が凪いでいくのを越前は感じていた。
「ねえ」
「………………なんだ」
「身代わりなんかじゃ、ないっスからね」
 抱き寄せた腕に擦りついて、越前は呟く。肌と肌のあいだに在る木綿の布が、ひどく邪魔だった。大分落ち着いてきた自分を自覚しながら、けれど新たなもどかしさを感じていた。もっと傍に居たいのに。チリリと、熾火のような衝動が生まれる。
 越前の肩の辺りを二度、海堂の手のひらが撫でていった。

『とんがった10のお題/ココロ』(「少数お題愛な貴方に色々なお題」水木翠さま提供)

劇場版をリョ海で補完してみたくなりました。
観てない方にはスイマセンです。

「オペラ座の怪人」を見てきたのですが、途中から、
ファントム:乾 クリスティーヌ:薫さん ラウル:越前
に見えてきて仕方なかった……!あっはははは。病が深い。
舞台で観た際にはクリスティーヌの優柔不断に苛々したのですが、
薫さんに仮託して観たらまあ、ラストは泣いていました。何たることだ。
映画はとても面白かったです。ファントムの声が好みでなかったけれども、
舞台と違って筋がはっきり理解出来、細部をちゃんと見られるのが良かった。
個人的には、クリスティーヌよりもメグが可愛くて可愛くて仕方ありませんです。
最初の「angel of music」のメグはもう、アンタこそ天使だ!と言いたい可愛らしさ。
あのクリスティーヌとメグの歌声が聞きたいためにサントラを購入しそうな勢いです。
あ、あと、「point of no return」のクリスティーヌとファントムは凄いエロスでした。
濡れた半裸の薫さんとそれに手を差し伸べる乾さんくらいにエロティック!



2005/02/13

『とんがった10のお題/ココロ』とちゅうまで、加筆修正して上に。

まぶたが落ちてきます。眠い。寝ながらもちっと詰めたいです。
あ、んと、ひとつだけ。だべりを。
槇原敬之の10thアルバム「太陽」収録の「迷わない羊」、
これが凄い仁王柳生に聞こえます。たまらんのです。
どこかフレーズ抜いてみようかなと思ったのですが、
全体的にぴったりはまり過ぎてドコとも言えない。
槇原の楽曲は常にときめきの導火線です。

そうそう、明日はバレンタインだというのに何もしておりません。
むしろバイト先の商品が売れないため撤収に追いまくられそうです。
この失敗で店潰れるんじゃねえの?と心配してしまう位に赤字を更新中。
世知辛いです。



2005/02/12

バイトで百貨店に入っているのですが、
休憩室は色々な制服を着た人で溢れていて、
まるで有明の屋上に来てしまったかのようです。
節電のため照明が暗いのもあって、とっても微妙。
薄暗がりの下で疲労困憊するコスプレ集団……いやー。

なんも更新ないのに拍手ありがとうございます!
ちょっと気力がないのでお題もまた明日。
頼む、早く治ってくれ母と兄……!!



2005/02/11 「リョ海オンリ!」

本日はリョ海オンリーがありましたね!すばらしい!
10時30分ごろ会場に付いて、並んで(あわよくば)だべって、
さんざんリョ海本を買い回って、出来れば企画にも参加して、
バイトの時間ぎりぎりまで会場で粘るつもりでした、でしたが。
インフルエンザウィルスが今朝方ふたりの病人を家庭内にこさえてくれてまして。
ホンコンA型だか何だかしらないが、人の楽しみを奪いやがって、こんちくちょう。

ということで会場着は11時ギリ、会場発は11時30分という超短縮メニューとなりました。
え、何だかんだ言って行ったのかよ、行ったんだよ。往復時間のほうが長かったよ。
帰りの電車で計算してみたら、会場にいた30分の間に一万円使い切ってたよ。
帰宅して病人を看たあと出直したからバイトに同人誌持ち込まずにすんだよ。
結果的に良かったんじゃん?結果オーライじゃん?と、思っときたいです。

短時間滞在でしたが、アットホームで素敵なイベントでした……やっぱもっと居たかった!
そんでもってever afterさんの新刊を買い逃したのが心残りで心残りで泣きそうです。
追い討ちをかけるようにバイト先の商品は売れないしで、心がささくれております。
これから買い込んだ戦利品にひたって心にラブを取り戻したいと思います。

web拍手おして下さった方々ありがとうございます。幸せになりました。



2005/02/10(二回目)

コスプレしてきました。いやちがう。
バレンタインの短期バイトをしています。
制服がカントリー風でレースとか付いていて、
結構可愛いので楽しいです。やっぱりコスプレか。

明日がいよいよリョ海オンリーで今からどきどきしております。
現時点で全サークルの新刊を買いそうな勢いです。本気です。
でもどのくらいのイベントなのか読めなくてちょっと悩みます。
11時即売会開始だから、何時に着いていれば良いのかな。
普段のノリなら10時には並んでおきたいんだが…うむむ?
先陣きりすぎてハリキリ屋さんな認定を貰うのは遠慮したいし、
さてはて、どうしたものか。ひとりで盛り上がりすぎかな〜。
何より一番危険なのは、同人誌買い込んだ足でバイトに行こうってコトですが。



2005/02/10
(仁王×柳生)

 するりと身を添わせたのは、銀色の猫。無言でスリ、と体を押し付けてきて、そのまま部屋を真っ直ぐに進んだ。和紙を通して降り注ぐ、障子越しのやわらかい月明かりにたどり着くと猫は、ようやく柳生を振り返った。そして、なあん、と一声。障子を開けてくれ、とねだっているのではない。なぜ障子が開いていないのだと、不思議そうに尋ねる声だ。柳生はクスリと笑う。
「外は寒いんですよ?」
 からかうように猫に話しかけて、柳生はゆっくり立ち上がる。パサリと軽い音でさばかれた裾の生地を見れば、決して上質とは言えないもので、それはこの家の全てに言えた。清潔にすっきり纏まってはいたが、よくみれば畳は擦り切れ、障子にはなんども継いだ跡がある。外は寒いと言いながら、夕刻を過ぎても火鉢ひとつ点けない室内もしっかり冷え切っていた。長いこと本を繰っていた柳生の指先も、冷たくこごえている。けれどそれを気にする素振りもなく、年季の入った障子の格子に手を掛けた。指の長い手は、薄暗い、質素な室内にボウと浮かび上がるように見える。
 障子が開けられる。同じく年季の入った感じの縁側の先に、小さな、本当に狭い庭が広がっていた。けれど猫は開けた外に向かって飛び出すでなく、柳生の足元に座ったままだ。寄り添うというほど近くではなく、しっぽだけを柳生の足にのせている。偶然そこに柳生の足があっただけなのだと言っているような澄ました様子に、柳生はやんわりと笑った。
 空はすっかり藍色に染まっていた。柳生はかるく驚く。診療所が早めに引けて、この部屋に戻ったのが夕七つ。冬の昼は足が早いといっても、この闇は夕方や暮れ方のものではなかった。町人たちの喧騒も既になりをそひそめている。
 猫が小さく、な、と鳴く。じっと何かを見つめたまま。軽く自分に呆れていた柳生は、その声で足元の生き物に意識を戻す。光る一対の視線の先を追った。
「………………やあ…………」
 西の果ての、家々の真上に。あと少し下がったら地面にぶつかって壊れてしまいそうな、はかない三日月があった。藍色の闇を爪で引っ掻いたような細い三日月。
「美しいですね。あなたの仕業ですか?」
 猫はいつのまにか柳生の足にぴったりと身を添わせ、ぐるぐると楽しげに唸っている。銀の毛皮ごしの暖かさに、柳生は自分がずいぶん冷えていたのを知った。じっと月を見つめていた光る目は、今は柳生を見据えている。
「あの月では、亥の刻あたりでしょうか。本に夢中になりすぎましたね。……教えてくださって、有難うございます」
 かがんだ柳生が背をなでると、猫はぴくぴくとヒゲを震わせて応えた。そのまま柳生の手をすり抜けて、定位置の、押入れの布団の上に戻っていく。押入れのフスマは猫のために、いつでも少し開けたままだ。シッポを立ててねぐらに戻る後ろ姿。なんだやっぱり寒かったんじゃないかと、柳生は小さく笑った。小さな音と共に障子を閉める。もういい加減にしろと、遠まわしに伝えてくれる優しさが、以前と何一つ変わっていなくて、喉と目の奥が熱くなった。
 思い込みじゃない。柳生は涙をのみこんで、火鉢の種を点けながら強く思う。傷の癒えた体と血を流したままの心を抱いてこの部屋に戻った新月の晩。無人のはずの部屋には、けれど、銀色の猫が住みついていた。失ったはずの人を思い出させる色に涙を流すと、猫は体をすりよせ涙をなめあげた。
 思い込みじゃない。ポウと点った火種が、陶器ごしに柔らかな暖かさを伝える。
 それは猫の体温にも似て、柳生を微笑ませた。

 そして、満月。

『とんがった10のお題/三日月』(「少数お題愛な貴方に色々なお題」水木翠さま提供)

や、あの、説明不足はなはだしくてスイマセン(お題)。
凪ちなむさんと以前語っていた立海戦国パラレルというのがありまして、
そこで仁王は猫になります。なるんです。それが忘れられなくて書きました。
彼女に無断で(…)立てたプロットはあるんですが文章に仕立てる自信がなく放置中。
くぅ、くそ、もっとこう、イメージをすくい出せるような文章が書きたいもんだ……!
ちなみに三日月の時間ごとの動きなんかが気になった方はコチラへどぞ。

C68カット
夏コミ用カット。受かるといいな〜(でも時間あるのかな〜)。
半年かけてじっくり作ればなんとかなるだろうと甘いことを考えてます。
カットはなんとなく手書きのが好きです。何となく、気合いが伝わる気がして。
受かった時はこのカットをイラストボードにしようと画策中。プリントして貼って水彩かな。

拍手ありがとうございます!
<web拍手返信>
2月8日7時桂木さま:誤字指摘ありがとうございます…!修正しました。お恥ずかしい。ありがたいです。白状しますとリョ海は槇原敬之・平井堅あたりの曲をイメージして書いていることが多いのです。どうしても甘くなる雰囲気はその辺りが理由かもしれません。平井堅が新作アルバムについて「恋愛の初期衝動をえがいた」と言っていたのですが、リョ海のイメージは正に初期衝動です。ああもうコイツラじれったい!という雰囲気を追求(?)していければなぁと思っております。いつもありがとうございます!


2005/02/07
(リョーマ×海堂)

 ぐ、と手を突き出された。握った手のひらに何か持っているらしく、海堂先輩は無言でそれを押し付けようとしてくる。オレが受け取らずに不機嫌そうな顔を見上げていると、苛立った声が落ちてきた。
「やる」
 端的な短い言葉。いつものそれが説明不足なのは本人も自覚しているが、何をどう言えば良いのか分からないのだと、何の機会にか漏らしたことがあった。その時は何て不器用で幼い人だろうと呆れたものだけれど、今になれば思わず笑みが浮かんでくるほどこの人らしい。確かに言葉は足りないけれど、この人が言うのは本当だけだ。飾り立てた社交辞令とは程遠い、真っ直ぐに心が透ける言葉は、酷く気を楽にしてくれるものだった。
「バレンタインにはまだ早いっスよ」
「馬鹿か、死ね」
 ……真っ直ぐに心が透ける言葉は気を楽にしてくれるものだ。下手に期待を持たされるよりは、多分、ずっと良い。あっさり切り捨てられた軽口の、半分くらいは本気だったとしても。オレは少し地面にめり込みながら、押し付けられた手のひらの中身を受け取った。
「何スかこれ」
「開けりゃ分かんだろ」
 不機嫌続行中の海堂先輩はにべもない。いつも以上に取り付く島のない態度の理由はなんだろうと、内心首を傾げながらオレは受け取ったものをまじまじと見た。和紙で出来た包みの口のあたりは、カラフルな糸を縒った紐で可愛らしく結ばれている。古風な印象のそれは、いかにも女の子が好きそうな包みだった。解いてみると、ころりと手のひらに転がり出てくる、甘い匂いのとんがった小さなもの。金平糖だ。
「どうしたの、コレ」
「貰った」
「誰に」
「知らないひと」
「貰うなよ!」
 思わず敬語を忘れた。あからさまに海堂先輩がむっとした顔をする。眉根をぎゅっとよせて唇が曲がる。あちこちにシワがよって陰が出来て、かなり迫力のある顔だ。けれどそれが怖いとか恐ろしいとかは思えない。
「……テメェに言われる筋合いじゃねえ。つか、テメェのせいで貰うハメになったんだかんな、ちゃんと受け取りやがれ」
 低く唸る、ドスの効いた声。ああ怒っちゃったな、と困るのだけれど、嬉しかったりもするのだから始末が悪い。けれど一歩引いた風で冷ややかに見下ろされるより、怒られるほうがずっと良いのだ。フーッと威嚇する猫のような姿に、頬がゆるむ。海堂先輩はさらに唇をひんまげた。可愛い。
「なんでオレのせいなんスか?」
「……………………電車で」
「電車?」
 しばらくじっと考えたあと、海堂先輩は少しだけ唇の端を上げた。そしてようやく出た言葉は意外なものだった。オレたちは通学に電車を使ったりしない。休日に出かける時に乗るくらいだ。なぜ電車内でオレのせいで金平糖を貰うことになるのか、見当がつかなかった。海堂先輩はオレを見て、また少し笑う。
 オレは、話とは全く関係のないところの普段あまり見られない表情に、いちいちドキリとしてしまう。そんな自分が可哀相やら可愛いやら、なかなか複雑だ。その間にも海堂先輩は楽しそうに言葉を繋げた。
「昨日、電車で。座ってたおばあさんに手招きされて、貰った。駅で同じ制服の同じようなバックを持った子に親切にしてもらったからって。体は小さくて目の大きい、少し大人びた男の子だった、て。お前だろ、親切な男の子」
「貰ったのはアンタっスよ、オレ関係ないっス」
 途中から、何を言われているのか分かって顔が熱くなっていた。黙っているのが恥ずかしくて憎まれ口を叩くと、海堂先輩は珍しく、ニヤリと意地の悪そうな笑いかたをした。何となくしたことを褒められて、かつ人に知られてしまうのは、なぜかやたらと恥ずかしい。恐らく海堂先輩も、最初は電車のなかでお婆さんに話しを聞き、物を貰ってしまった自分が恥ずかしくてオレに当たったのだが、オレのほうがもっと恥ずかしいことをしたのだと気付いて今に至る訳だろう。――海堂先輩が人をからかうのは初めて見る。
「イイコだな、越前」
 楽しそうに、ぐしゃりと髪をかき混ぜられた。普段ならお返しに抱きついてみせる(そして怒らせる)位はするのだが、今は手のひらに乗ったままの二粒の金平糖に動きを封じられてしまっている。完全に攻守が逆転したやりとりに、オレは顔を赤くしたままぐっと唇をかんだ。

『とんがった10のお題/金平糖』(「少数お題愛な貴方に色々なお題」水木翠さま提供)

つっぱているくせに甘い匂いをふりまく可愛いひと、とか。
お互いにお互いを、そんな腐れた風に考えてくれていると、とても嬉しい。
そして劇場版を見た勢いで描いたおえび絵を、なんとバナーにしてみました。
おおお、ちょっと恥ずかしい……?サイト公開している自体十分はずかしいっか!

拍手ありがとうございます!
<web拍手返信>
2月6日7時「三周年〜」のかた:お祝いの言葉ありがとうございます!今後もヨロヨロと続けていきますので、どうぞお付き合いお願いいたします……!そして、そうですね、通信部!勉強は続ける気さえあれば続けられるというお言葉ですね(我が身が恥ずかしい)。教授陣は社会人学生の多い夜間学部のほうが授業が活発だとぼやいております、そういえば。自分に都合の悪いことはスコンと忘れておりました。スコーンと。感傷に浸るよりもどうやって続けるかを考えるべきですね。有難いお言葉をいただいてしまった。一杯ありがとうございます!



2005/02/05

劇行版「テニスの王子様」を観て来ました(二回目)。
思ったより空いていて、心配した歓声もほとんどなく快適に観られました。
むしろ、わたしと今回初見の友人がうるさかったでしょう。すいません。
でもあの映画を無言で観るのもどうかと思います。だってね……!
やっぱりリョーガさんにときめきます。あの可愛い人は何でしょ。
万が一リョーガと薫さんが並んだら萌え死にしてしまいそう。
後半の衝撃シーンの連続は相変わらず爆笑なのですが、
かなり本気で劇場版のストーリーに悶えてきてます。

本日同行した友人はテニス歴が浅い方なのですが、
「ホントに理屈じゃないね!!!!」と目を輝かせていました。
正しく理屈を超えたところの映画。あれを大真面目に作った松竹に拍手。
松竹の勇気に感謝しつつ、せっせと映画館に通わせていただこうと思います。

映画館といえば今日は渋谷のアミューズCQNという劇場でみたのですが、
もんのすごくオシャレな映画館で、テニスがいっそシュールに見えました。
映画館なのに酒が飲めるんですよ。飲みましたよ。朝一番の上映なのに。
アルコールの動悸まで加わって、何だかもう大変たのしかったです。ハイ。
(一日たっぷりお付き合いいただいてありがとう235さん!773さんも今度は是非!)

たのしすぎて劇場版主題歌をアニメイトで買って帰りました。
現在エンドレスリピート。曲としても良い、主題歌としても良い。


2005/02/04

今日から春ですって、うそばっかりー。
川崎市民ミュージアムでやっている「CLAMP 四」展にいってきました。
かがやかんばかりの原画の美しさと精巧さにクラリとしました。
そして来場者の年齢の高さとソレくささに切なくなりました。
ただ、まあ、「美術館」の対応としてはどうなのソレとは思いましたが(ボソボソ)。
美術品として扱うならキャプションぐらいちゃんと作れよ、とか、照明ひどい、とか。
作品保護のガラス板によごれがついているのがあって愕然とした。なげかわしい。
市営の美術館だから予算厳しいのは分かるんだけど、それにしたって頑張れ川崎!


色々書きたいことあったはずなんですが今ちょっと、
はげしく動揺してしまう出来事があってアワアワしてます。
なんか、うん、とにかくワタシは何も諦めないでいようと思う。
出来る限りをやって、んで、駄目な時には次の方法を考えて、
兎に角いまは出来る限りの準備をする。無理も嘘もなしで。
自分が何をしたいのかと、自分に何が出来るのかと、
自分がどういう風に成長していきたいのか。
そのための場所として適しているのか。
適していると考える理由は何か。
考えるための情報は足りているのか。
足りないとしたら何なのか、どうやって手に入れるのか。
こんなもんかな?こんなもんだな、ええと、うん、考えます。
打っていたらようやくちょっと落ち着いてきたぜ、ふいぃ。



2005/02/03

口頭諮問で担当教授が言ってくれたのは、
「読み物としては、非常におもしろく出来ています」。
その後に研究的にいかん理由を並べて下さったのですが、
楽しんで読んで貰えればそれで十分なので目的は果たしました。
執筆中はとても楽しかった。ああいう贅沢な時間は二度とないだろう。
学生というのは本当に優雅な身分だったんだなあとしみじみ実感。

<web拍手返信>
3日20時ちなむさま:さまっていうか。こそばいですね。痒い痒い。そう、テニスに引き合わせてくれた張本人のちなむさんには、ひたすら感謝です。ありがとう。お陰で見ての通り、おかしい位に薫さんが大好きです。君がいなければ腕がヘビになる怖い人だと思ったままでした。本当にここまでハマるとは思ってもいなかった!これからも構ってくれると嬉しいです。どうぞ構ってやって下さい。拍手ありがとうございました!!



2005/02/03(2日深夜)

ばたばた〜と終電で帰ってくると帰宅が午前一時すぎ、
なんやかんやで寝られるのが大体午前二時すぎ。
パターン化しつつある打ち上げシーズンです。
卒論口頭諮問も終わりアホのように飲み喋り歌いました。らりほー。
さてはて残す行事は卒業式のみ。……嬉しいのが切ないのに変わってきた。

最近お友達の間で使われるお決まり文句があります。
「私たちもう二度と学生じゃなくなるのよ、これって凄いことだわ」。
よしながふみさんのマンガの一節に出てきまして、今にバチリと嵌る訳です。
ちょっと感傷的になる度にこのセリフを出しては「本当にな!」と言っているのですが、
問題がいっこだけ。原典のマンガは性描写のきついボーイズラブマンガです。
それを皆が 当 然 のものとして受け入れているのが大問題、では。
いまさら、今更ですか?そうかもしれません。普通って何だろう。

2日は三周年ということもあってでしょうか、
web拍手をぽっちり押してくださる方が多くいらっしゃいました。
ありがとうございます。じわ〜、と嬉しさがこみ上げてきます。
頑張ります、というのも違うと思うので言葉に悩みますが、
今後も良いと思ってもらえるモノを作りたいと思います。


<web拍手返信>
2日4時きょうこさま:いやわたしのほうが!(笑) お祝いの言葉ありがとうございます、3年たっちゃいました。早かったです。そんでもって、そちらさまの息の長さを目指したいと思っております。本当にありがとう!!



2005/02/01

(一日フライングですが)サイト開設三周年になります。
何やかんやでもう三年、早いものです。薫に狂って三年です。
薫さんが原因で彼氏と別れたこともありました。恐ろしいものです。
どうなんだソレと自分でも思っています。しかし止まらないパッション。

好き勝手に萌えをほとばしらせる当サイトでありますが、
お付き合い下さっている方々には本当に感謝しております。
掲示板やら拍手やらでお言葉をいただけたりすると、もう、
どうしたら良いのか分からない位嬉しいです。有難い。
何をどう言ったものかと考えあぐねてはいるものの、
いつも判で押したような返事になってしまいます。
申し訳なくも情けない。しかして本当に有難いです。
出来るならば「コイツに何か言ってやりたい」と思って貰えるものを書きたい。

一寸先の見えないフラリ〜としたサイトではありますが、
よかったら今後ともお付き合いいただけると嬉しいです。

<web拍手返信>
31日1時きょうこさま:おおお、わざわざ有難うございます…!びっくりしました。まさかココを見ているとは思っちゃいませんでした。うひー恥ずかしい。恥ずかしいこと書いてスイマセン、でも大好きです(まだ言うか)。こちとら激しくホモでアレですが見て頂けて嬉しいです。ほんとうに有難うございます!