PercPark
ドラムを作る
究極のフルオーダー

番外編その3:とりあえず力尽きてみる。
 工程確立作業、いわゆる試作品製作だけで何年かかったんでしょうか。
あ、いや、まめにやっていれば実質半年もかかってないんですが、やろうと決心してから形になるまでに、これだけかかってしまいました。
きっと試作品での多くの面倒は、シェルの出来の悪さに起因するものが多かったので、本工程に入ってからはある程度楽な作業になると思っているんですがね。

 前回までのおさらい。
カノウプスで買ったシェル以外にも、サウンドハウスで買った8インチ&10インチセットで7800円のタムの、カバリングをはがしてラッカー塗りをしてしまおうということで、カバリングを外し、目止め、着色、下塗りまで完了した、と。

 次の工程は、もう、そう多くはありません。ここらで気合を入れて、ドラムに貼るエンブレムを製作、貼り付けた後でツヤのある仕上げ塗装をし、エンブレムがはがれないようにすると共に仕上げ塗装に入り、乾いたら最終仕上げのペーパーがけ、ツヤ出しにかかることにします。あとは気分次第でシェル内側の塗装もして、金具類の装着、そして完成となります。

 とりあえず自分が手をかけたものだという証明に、エンブレムを作りましょう。
これには当然いろいろな方法があります。最も簡単で手っ取り早いのは、手書きで直接書き込んでいくものですが、自分、絵心がないし字も下手なので、パソコンの力に頼って、オリジナルラベルを作ることにしました。
右の画像がそれです。自分なりに和と洋の融合を目指してアルファベットと漢字に、障子戸をイメージした格子模様をあしらってみました。手放しで喜ぶほどいい物でもありませんが、悪くもないんじゃあないかと思います。
絵や文字に自信のある人はエアブラシや筆を使って絵や文字を書き込んでいって、100%オリジナルデザインだとわかるような物を作ってもカッコいいと思います。

今回自分がやった方法は、パソコンでオリジナルラベルを作るためのラベルシートが売られているので、自分がパソコンの絵描きソフトでデザインしたものをそのまま普通に印刷しただけですが、かなりそれっぽく見えるようになりました。ラベルの色もいろいろ出回ってるんですが、見た目にもオーソドックスな、シルバーのラベルに黒一色の文字で製作。
主要メーカーのものはきれいなアルファベットで書かれている物がほとんどなので、あえて筆書き風のフォントで漢字でやってみました。備後守と書いて”びんごのかみ”と読みます。日本が誇る折りたたみナイフ”肥後之守(ひごのかみ)”の銘をちょいと拝借、自分のハンドルネームの”びんご”を漢字化して備後と。別に備後の国の生まれではないんですが、外人が見たら喜びそうな、適度な複雑さだったので。3文字にしたのは、この幅で4文字詰め込むと、字が縦につぶれて見た目的にいまいちだったので。

さて、これでやっとドラムっぽく見えるようになって来ました。もう一息です。これに仕上げの塗装をして、塗装面をきれいに整えていきましょう。
エンブレム&貼り付け後

 ツヤ出しのための仕上げ塗装には通常のラッカー塗料、クリアータイプのものを使います。
しかも当然、ニトロセルロース系なわけですが、今まで使った塗料と違い、サラサラなので、塗る際は塗膜はきわめて薄く、少しずつ塗膜が重なっていきます。少し塗っては30分〜1時間放置して乾かし、また少し塗っては乾かしを繰り返し、表面にある程度のつやが出るまで続けます。

しかし、スプレーのサガというか、自然の不思議さというか、どうしても塗料のノリのいい面、悪い面が出て、少なからず塗装面がボコボコになってしまいます。まあ、結局そのための、その後の艶出し作業になるんですが。

 艶出しにかかりましょう。
 まずは、耐水ペーパー1000番をホルダーに装着、削りカスがやすり面に詰まって、仕上げ面に変な傷をつけないように、たっぷりの水で濡らしてから仕上げにかかります。
このとき、絶えず表面に水をかけながらやると、さらに仕上げ面がきれいになります。ただ、今回の作業方法ではシェル内側は無塗装、無防備状態なので、出来る限りシェル内側にペーパーの水をたらさないようにしましょう。気にする方はシェル内側をマスキングしてください。まあ、仮に濡れても、全部水漬けでべしゃべしゃにならない限り音が変わったりしませんし、ちょっと濡れたくらいなら、数日乾かせば元に戻ります。木の本来の力を信じて、繊細かつ大胆に行きましょう。

 表面が凸凹していると、ペーパー掛けしていく時点で、やすりが掛かったツヤのない面、スプレーがけした時のままのツヤのある面がはっきりわかります。
明るい場所で、ペーパー掛けした面を光に当てつつ、ツヤのある面をつぶしていきましょう。全てツヤのない面になるということは、塗装面がほぼ平均な面になったということです。

残ったツヤ面を全てつぶしていくと、今後の仕上げ分の塗膜の余裕がなくなってしまうので、少し残した状態で、1500番、2000番の耐水ペーパーを使って、同じように磨いていきます。そうしていくうちに、つぶつぶだらけだった仕上げ面が徐々にきれいになって、さらに仕上げ面も少しずつツヤが出てきます。
この後おいらはさらに3000番のペーパーでとどめの仕上げをしましたが、実際はちり紙やペーパータオルなどで表面を地道に磨いていくだけでツヤが増します。しかし!
それが仕上がりではないのです。最後はコンパウンドと呼ばれる、きわめて微細な粒子のペースト状の仕上げ材で、とどめを刺します。そうすると、まるで塗りたてのような塗膜のツヤが出てきます。あとはその際の細かいカスも丁寧に取り除いて、シリコンクロスなどできれいさっぱり拭き取ると、シェルの部分は完成です。
着色後 下塗り後 仕上げ中 仕上げ後
着色後 下塗り後 仕上げ中 仕上げ後
光の反射具合の違いでツヤが出てきているのがわかってもらえると思う。。。
 あとはもう、金具関連を取り付けるだけ。今回、サウンドハウスで購入したコンサートタムの、標準のラグがいまいちカッコよくなかったので、ちょうど穴の間隔がぴったりだったパールのラグに付け替えることにしました。最近のマスターズ、セッションカスタム、エクスポートシリーズのいずれのラグでもほぼ未加工(万が一やすりを使っても、ほんの撫でる程度)で取り付けられます。
細かい話かもしれませんが、ラグを取り付ける際、右の画像のように、ラグの、シェルと接する部分にゴムのシートがついていると思います。このシートは付いた状態で取り付けないと、塗装面が割れたり、へこみ傷ができますので、音を良くさせたいとか素人考えを起こさずにゴムシート付きの状態で取り付けてください。なかったら0.5ミリくらいのゴムシートを金具の形に合わせて切って付けましょう。塗膜の保護で重要な部品です。
さてさて、ラグを取り付けたら、あとはヘッドとフープをつけてチューニングするだけで完成です。今回のバージョンではRIMSやISSでの使用が前提となっていたので、本体に余計な穴は開いていません。タムブラケットをシェルに直接つけたい場合は、それぞれのメーカーのブラケットに合わせて穴を開けるなどの再加工が必要です。
ラグ&取り付け後

さあ。できた!こんなに時間が掛かるとは思わなかったが、とにかく出来た。今回のタムにはISSマウントシステムを使用してみました。理由は簡単で、自分が持っている8インチ用のRIMSは5穴用で、ピッチが合わないからと、テスト品に余計なお金をかけたくなかったからです。4穴だったら、タマのスターキャストマウントシステムでもいいかもね。

さあみんな。忘れていないかい?
これは練習だ。これから本物のメイプルシェルを使ったタム作りが始まるんだ。
今回、いろいろ失敗を繰り返しながら作ったわけだが、それが次回に役立つぞ。
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