釣りする人
海水だゴルァ!ベイエリアで逝ってよし。


遥かなる鱸の歌
 まあ、結局スズキ釣りです。どうもいまだに「シーバス」なんて呼ぶのには抵抗というか、妙な気恥ずかしさがありまして。そんなこと言い出すと「ロッド」だの「ライン」だのなんて言い方にも実は抵抗があるんですが。っていうことで、ここではこういった英語と日本語が異常に混在する恐れがあります。まあ、なるべく分かりやすく表記していくように心がけますが。なんて言うか、Baseballに対する野球のような。そんな気持ち。

 で、ナニが遥かなのかと。もともと忙しい釣りには合わない性分のようで。
「癒しを求めて結果を求めず」が、アダになるわけです。ルアー釣りで忙しくポイント移動しようとも、のんびりしていたい性格が前面に働いて、つい周りの景色に見とれてしまったり、別のこと考えながらゆっくり歩いたりで、いい時間帯を逃してしまうのも原因の一つにあるんだと思います。でも、釣れてもほとんど持って帰るわけじゃあないし、元々持って帰るつもりがないなら、なおさら釣れ過ぎても困るわけで。釣りに行くのが楽しいので、釣れた釣れないは、二の次、三の次と言うか。一番の理想は、ここ一番の時に2、3匹釣っておいて、後はのんびりっていうのがいいんですけどね。

個人的開拓史
 始まりは中学の頃読んでいた釣り雑誌、「釣り人」。そこで、京浜運河のシーバスが紹介されていたのを読んでからだろうか。その当時の認識は「シーバスって何よ?スズキそっくりじゃん」と、微妙に天然入ってる感じでした。まあ、たまたま牛久沼でブラックバスを釣った時の装備があったので、ちょっくら行ってみるかって感じで行ってみたんです。で、まあ、さすがにそんなステキなサクセスストーリーがあるわけではなく、夕方になっても何も釣れずにふてくされて帰り支度をしてたその時、隣のスカしたにーちゃんに来てるわけですよ。シーバスが。その瞬間、「やっぱルアーでも釣れるんだ」ってのを初めて実感できたわけで。測ってるのを見たら72cmもある立派な「スズキ」。それからルアーを新しく買ったりして何度も行ってはみたものの、一向に釣れない。で、高校入学とともに再びまったり川釣り派に戻って、しばらくシーバスのことは忘れ去られることになりました。

 社会人になって、仕事で地方への長期出張が多くなりました。で、横浜の現場でいろいろ教えてもらった先輩と、九州・大分の現場で再び会うことになりまして。その頃になると、お互いに釣りが好きというのも知っていたので、誘われるようになります。そこでの獲物がルアーでのシーバス狙いです。結局、大分にいたときも釣れず。その後会社を辞めて、音楽活動を始めるようになります。それからは、気が向いたら多摩川でのお気楽鯉釣りをする程度だったんですが、現在のバンドのメンバーがバス釣りをする人で、話を聞いているうちにシーバス熱が再燃してくることになったわけです。

 しかし釣りそのものをしなかった、というか、釣りはしていたんだけど、大きな釣具屋に行かなかったその数年の間で、かなりの道具類の進歩があったことを知ります。竿、リール、糸のどれをとっても新鮮な驚きでした。まずは現在の流れを知ろうと話を聞いたところ、とりあえず京浜運河一帯は、いまだにシーバスのポイントとして健在だということと、最低限、竿は新調しておく必要がありそうだということが理解できました。大分にいた時に購入した竿では、いわゆる湾奥で釣るには調子が少々強すぎ(10〜56gの、ミディアムヘヴィ)でバレやすく、面白みがなさそうだということ、また、ベイエリアでのシーバス釣りが盛んになったために、ライト〜ミディアムライトくらいの専用ロッドが豊富に出回っていること。以上を踏まえて竿を新調することになりました。ただ、ベイエリアと一口に言っても釣り場の状況は多様です。なので、お気軽用に8フィートの、柔らかいがコシのある胴調子気味のミディアムライトな竿を、湾奥に点在する、砂浜などの開けた場所用に8.5フィートの、先調子気味で少々硬めのミディアムライトな竿を購入。

 それから、現在のトレンドに対応すべく道具の再考が始まります。その、道具の再考に、意外と早く竿も含まれることになりました。お台場でのシーバス狙いの際、8フィートの柔らかめの竿でも硬いんです。と言うのは、あの辺は釣れる平均的なサイズが30センチ前後。その場合、相手のエラ洗いの際にたまたまこっちが竿をあおっていた場合、ごぼう抜きのごとく引き寄せられてしまうんです。なので、全てワンランク落とした設定の道具を準備することにしました。7フィート、4〜14gの本流向けのトラウトロッドに8ポンドのラインに3号のリーダー。不意の大物には弱そうですが、そんなことはありません。後述のすばらしいリールに出会ったおかげで68センチの鯉でも上げられることが分かりましたので(^^;こんなことがあって、他の道具についても見つめなおすことになります。

「水着を持ってこいとは、誰も言わなかったぞ・・・」
 その通りです。水着なんて使いませんとも(^^;コアなネタなのでわかる人だけ微笑んでいてください(^^;
 まずはリールです。3号の糸が150mも巻けるリールが一つあったので、それでも全然問題なかったんですが、せっかく竿を新調したんだからと、勢いで、ゼロから買い直すことにしました。まずはリール。その時点ではSHIMANOの初代エアレックス(確か、上州屋で糸付きリールとしてワゴンセールで売られていた)だけを持っていました。正直、これでも充分です。新しいリールを買った今でもそう思います。でも、ついた火はそう簡単には消せません。手始めに、ヤフオクでSHIMANOのバイオマスター3000DH白を購入。その後、勇み足で、上州屋で異常に安く売られていた、同じくSHIMANOのアルテグラ3000を購入することになります。アルテグラとバイオマスターなんて、ボールベアリング一個の違いでしかありません。素直に替えスプール買えばよかっただけなのにと気づいたのはそう遅くではありません。シャクなので、そのまま売らずに使うことに。

・・・してたんですが、鯉釣り同様、シーバスにも思考の変化が現れます。まあ、初め基本通りにやっていたものは、慣れてくるとかえって都合が悪くなる時があります。初めに現れたのはドラグ。この調整が僕は下手で、いつもきつめに設定しておいて、切れなければもうけものという考えでした。が、葛西で52センチがかかった時、今までの感じとはまったく違った引きの強さに慌てて、とっさにクラッチをフリーにしました。こうすれば、引きが強い時はハンドルを逆転させてライン切れを防ぐことが出来ます。こんなやり取りをしてゲットしたシーバスに、一つ気づいたことがありました。エラ洗いの少なさです。取り込む寸前にちょっと暴れたぐらいで、一度もそれらしいしぶきを立てなかったのです。それは、ごく最近京浜運河で上げた46センチのシーバスでもそうでした。これはひょっとしていい方法を見つけたか?そう思った時、一つの釣り方を思い出しました。「逆転釣り」と呼ばれていたもので、磯でのメジナ、黒鯛釣りに用いられる方法です。
簡単に言うと、、「ドラグの代わりに、ブレーキを搭載したリールを使う釣り方」です。
この場合、ドラグがないので、常にクラッチをフリーにします。すると当然、リールが逆回転します。しかしそのままだと逆回転しっぱなしなので、回転を止める必要があります。それは、リールについたブレーキレバーを引くことによって止めます。もちろん、強く引いてしまえばかっちり止まってしまうので糸が切れますが、ブレーキを引く強さを加減しながらやり取りすれば、完全にリアルタイムでのドラグ調整をしているのと同じようなやり取りが可能になるわけです。ちなみに、ブレーキは逆回転するときだけにかかるようになっているので、レバーを引きっぱなしでも巻き取ることは出来ます。まあ、なんというか、ドラグとクラッチの機能を足して2で割ったような機構ですな。

さて説明が長くなりました。こうなるとアルテグラやバイオマスターでは不可能な方法です。自分はシマノ好きなので、シマノのブレーキ搭載リール、BB-Xの購入を検討。しかし異常に高い。まあ、スムーズに逆転させるためにはボールベアリングを増やさなくてはいけないのは分かりますが、一番安いモデルでも、定価はアルテグラとバイオマスターの中間です。これは運がいいことにモデルチェンジ前の時期に思いついたので、在庫処分で4割引になっていた、BB-X EV3000Tを税込み9千円弱で無事入手。その後、BB-X XT3000Tを6割引で発見。悔しいので買ってやった。今のところ、いいお付き合いをさせてもらってます、という感じですね。

 次は糸です。道具の進歩で驚いたことの一つに、この糸も挙がります。今はナイロンだけではなく、以前は、その張りとコシの良さ、また、糸そのものの重さのために、ハリスや重いオモリを使う船釣り用としてしか使われなかったフロロカーボン系の糸がナイロン並みの柔軟性を得て、今ではこうした道糸用として使われていたり、PEラインという、極細の編み糸が使われるようになっていたり。こんな編み糸なんて、以前は船での釣りのために使われていたテトロン糸くらいしか知りませんでした。とりあえず、フロロのラインと柔らかめのナイロンのラインを購入。さすがにフロロが柔らかくなったとはいえ、従来のナイロン糸程度。軽いルアーを飛ばす時には不安が残ります。そのために柔らかめのナイロン糸を合わせて購入。BB-Xにはナイロンを、バイオマスターにはフロロを巻いて、現在は、糸も竿も3パターンずつあるので、これからはとっかえひっかえ試していきたいと思う。→「道具の変遷」へ

 そしてルアー。僕は今でもほとんどラパラのルアーしか知らないという、「ラパラー(^^;」です。現在においても種類といい、値段といい、初心者に優しいルアーであることに変わりはありません。まずは湾奥スタンダード、レッドヘッドのカウントダウンの5、7、9cmを新規に購入。あとは、自分の気に入った色の、7cmのカウントダウンを数個購入して、7〜9cmのフローティング、サスペンドもそれぞれ数タイプ購入。個人的なお勧めは、ラパラの8cmの「ハスキージャーク(以下HJ)」というやつ。サスペンドタイプなんですが、どうやら元々まったりな自分にはカウントダウンよりもサスペンドで誘う方が合ってるようです。色は、鮎とパールホワイト。これ、最強。っていうか、この二つが唯一実績があるルアーというだけなんですが。8フィートの竿のテストを京浜運河でやった時、買ったルアーを何投かごとに取り替えてやっていて、HJのパールホワイトに32センチの初シーバスが、数日後に葛西でやった8.5フィートの竿のテストでHJの鮎に31センチ、その後の釣行で52センチをゲット。微妙にお勧めです。HJのトロ引き。

リーダーシステムを問う
 シーバスに限らず、あらゆるルアー釣りで、リーダーや、ダブルラインっていう言葉を耳にしますが、あれって、どんな意味があるの?道糸より太くするんだから、「ハリス」って言うのとはまたちょっと意味合いが違うみたいだし、第一、なんで一部をダブルラインにするのか意味がわかりません。遠投の投げ釣りにおける力糸みたいなモノなんでしょうか?それでも、たまに「高切れ」してる人を見かけると、あまり力糸の役割を果たしているとも思えないんですが。
いやね、僕のシーバス釣りの「仕掛け」を見て驚く人がいたので、リーダーシステムについて問うてみたいなと。

 僕のシーバス釣りにおけるリーダーは、ナイロンの道糸3号に対して、フロロの4号を1mだけです。ダブルラインなんていう面倒くさいモノは作っていません。場合によって(フロロの3号の道糸を巻いているリールもある)は直結さえします。どっちにしたって、切れる確率に変わりはないと思いますし、切れた場合の糸の残り方を考えると、フロロの道糸にして直結の方がすっぱり切れて環境にもいいんじゃないかとさえ思います。

 そもそも僕は、このリーダーシステムというものに関しては「根ズレ、歯ズレ防止」の役目でしか考えていません。スズキやタチウオは歯が鋭く、また、スズキに関しては捕食がヘタということもあちこちのサイトで実証してくださっている方がおりますので、きっとヘタなんでしょう。その、食い損なった口で糸を噛まれても平気なように、固めのフロロカーボンの糸でガードをしているに過ぎません。また、障害物周りで魚がかかった場合でも、魚は自分の近くにある障害物に隠れようとするでしょうから、よほどの大物で、ぐいぐいと糸を持っていかれた場合は、1mくらいのリーダーでも、何メートルものシステムを組んだラインでも、弱い道糸の部分が障害物に擦れたりして、切れるときは同じく切れるでしょう。そんな理由からあまり複雑なラインシステムは組まず、現在の考えに至っています。

 ショック吸収という観点からみても、このラインシステムで僕は高切れ、合わせ切れを起こしたことが今までないので、力糸、ショック吸収としての役割も全然考えていません。ショック吸収は竿がやってくれていますし、しかも、自分が得意とするレバーブレーキリールを使う釣りの場合、ブレーキを握る人間の力は、常に一定であることはあり得ません(3kgの力を維持して3分間握りつづけろといわれても無理でしょう。ましてや、竿を握って魚と引っ張りっこしてる手では)ので、それも自然とショックアブソーバーの役目を果たします。まあ、僕は住んでいる場所柄、砂浜や磯からのシーバス釣りには縁遠いということも、ここまでラインシステムを簡潔にさせた理由にあると思いますが、そういったことから、最近はシンプルなリーダー、もしくはフロロ道糸に直結という結論に達しているのです。

 環境への配慮。リーダーがない方が、かえって魚にも釣り場にも優しいのではないか。魚とやり取りをして糸が切れた場合、針のかかり方にもよりますが、口をふさぐようにしてかかっている場合は遅かれ早かれ死ぬでしょう。それはリーダーがあったってなくたって一緒です。まずは魚とのやり取りの際は糸を切らないこと。これは最も重要なことです。それでも切れてしまう場合、自分の腕を疑い、魚のために安全に取り込んでやることを考えて精進するべきです。
最近は生分解性の糸というのがあるそうで、強度は今のナイロンやフロロの足元にも及びませんが、根掛かりで糸が切れた場合、時間はかかるが水中の微生物に分解されて自然に帰る、という。ルアーは残ってしまうが、そんなことを言ったら、同じく自然に帰らない鉛を使う、他の釣りにも問題はあるわけで。まあ、とにかく生分解性の糸をリーダーとして使えば、鳥が糸に絡まるなどの事故は減ると思うので、環境への取り組み方として評価はしてもいいと思う。石鯛釣りなどの捨て糸としても最高の素材なのではないだろうか。

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