イサカ・コラージュに寄せて
早川良雄
伊坂さんは複数の才能に恵まれた人である。
彼は”現代”を深呼吸し自身の思想を持つ。ただ”線と形と色”だけの人ではない。
伊坂さんの「コラージュ」ではない他の系列の仕事に、
例えば岡本信治郎と合作した『少年戦記』シリーズがある。
画家の或る思惟を軽やかな寓意性と奇知のパロディーに解放する作品群で、
それらは、黒一色のドライな製図のように見え、
この世のモノならぬ仮象を描いた抽象
(?)だったが、私には、
その笑い飛ばすような風通しのよい表現が、”現代アート”の理想のように思えた。
さて、今回の「切手コラージュ」は、それとは全く別次元の営為のように思われる。
遠い日、ある外国郵便の封筒に貼られた旧い切手、日付けの消印も押されていて、
誰へのどのような便りだったのか、つい思いを馳せてしまう。
そんな想像だけで画面に淡い気分のようなものが生まれ、
ソフトフォーカスの詩的な風趣が漂うように思われる。その意味で、
画面全体に透き間なく貼りこめられた「切手コラージュ」は、その徹底した方法によって、
甘酸っぱいセンチメントをパッケージしてしまう造形的な迫力を持った。
この作品のなんとも複雑な重量感としか言いようのない
”意識的な無作意”に脱帽してしまう。 美しい作品である。