ホワイトシェパードは、アルビノでもなく、突然変異でもありません。目にも鼻にもちゃんと黒い色素を持っています。ホワイトシェパードは、ジャーマンシェパードを作り出したときに親となった犬達の中に白い体毛の犬がいて、その資質が子孫にときどき現れていたのを近年固定して独立の犬種としたものと言われています。ミルキーの両親も白く、兄弟姉妹も全部白いのです。 体色が異なること以外はジャーマンシェパードのスタンダードに準じていますが、本家のシェパードと異なり、人間のパートナーとしてブリードしているためか、極端なスタイルではありません。それが逆に魅力だと思います。 海外では全然珍しくないホワイトシェパードですが、日本ではほとんど見かけません。そもそも日本では本家のジャーマンシェパードも海外に比較して極端に少なく、登録数で見ても、欧米のベスト3以内に対して、日本では30位台なのです。以前はジャーマンシェパードをよく見かけたものですが、今は本当に少なくなりました。 |
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シェパードが好きなわけ |
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私が小さい頃、いつも家に犬がいましたが、何代目かの犬がジャーマンシェパードでした。成犬でやってきて、私の姉にアリと名付けられました。とても利口な犬で、小さい私の面倒をよく見てくれたものでした。アリは、私が転べば心配そうに助けに来てくれましたし、冬にはスキーをつけた私をどんどん引っ張ってくれました。何か悲しいことがあったときは彼の超特大の犬小屋に入り込み、そのまま眠りこんだこともありましたっけ。残念ながら、彼は何年後かにフィラリアで亡くなってしまいました。 父の犬ではなくて自分の犬が欲しいと思いながらも住宅事情から手に入れることができなかったのですが、2年前についに我慢できず、マンションを売り払い一戸建てを手にいれて犬を飼うことにしました。犬種図鑑であれこれ考えましたが、実家で飼っていたアリの利口さと優しさから、ジャーマンシェパードに決めました。断っておきますが、私はジャーマンシェパードだけが好きなわけではありません。犬も猫も純血種、雑種にかかわらず大好きで、動物一般が好きなのです。でも、同居して、一緒に暮らす場合には、一番好きなコを選ぶ必要があります。 いざ、シェパードを手に入れようとして調べだしたら、現在のジャーマンシェパードは腰が異様に低くて、アリのイメージはありません。シェパードのブリードの在り方について、とやかく言う資格はありませんが、私の思い描いているシェパードは均整のとれたアリの姿でした。 |
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ホワイト・シェパード |
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色々なWebサイトを巡り歩いていて、ホワイトシェパードの存在を知りました。 ホワイトシェパードは、先ほども述べたように、ジャーマンシェパードを作り出したときに使われた先祖に白毛の犬がいたために、先祖帰りという形でときどき生まれたようです。けれども、白毛種はジャーマンシェパードのスタンダードではないという理由から、生まれてすぐに処分したそうです。牧羊犬などに使うときに白い羊にまぎれてしまうということでしょうか。 けれども、犬種というものは狩りとか牧羊などの実用から作り出すことが過去の動機だったでしょうが、現在では人間のより良いパートナーという観点からブリーディングが行われることが多くなっています。長毛のジャーマンシェパードは基準外ですが、パートナーとしては魅力的です。シャイロシェパードもそのような目的で作られたものです。今では、ホワイトシェパードは国によっては公認犬種として認められています。もっとも、アメリカン・カナディアン・ホワイトシェパードなどといろいろな名称で呼ばれて、ジャーマンシェパードと区別されているようですが・・。 さて、Webサイトで見たホワイトシェパードは、ジャーマンシェパードのようにブリードが極端ではなくて、昔のアリの姿でした。腰高でとてもスタイルがよかったのです。ただ真っ白なだけです。その白い姿は、ジャーマンシェパードの警察犬のイメージ(世間的なイメージですけどね)を払拭するもので、都会でいっしょに過ごすには好都合です。私が知っているジャーマンシェパードは、世間的なイメージとは異なり、どれも優しい子たちばかりでしたが、知らない人には怖そうに見えますからね。 たちまちホワイトシェパードに惚れ込んだのですが、どうやって手に入れたらいいのか見当もつきません。海外でこれはと思ったのはカナダのブリーダーでした。ここから手に入れようと思いましたが、自分で輸入するのもしんどいので、個人輸入代行のWebサイトを探しました。いろいろ質問させていただいた業者さんには感謝してます。いいアドバイスをたくさんいただきました。 |
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国内のブリーダー |
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勉強してみると、個人輸入も大変そうだし、何より子犬にとっては検疫期間がつらそうです。悩みながら、いろいろな検索エンジンを試していると、国内にもブリーダーがいることがわかってきました。 ひとつは四国のノイマンさんです。もうひとつは七尾のTさんです。私は子犬の親を見たかったし、直接子犬を引き取りに行きたかったので、Tさんから譲り受けようと考えました。 さっそく、Tさんにメールを送ると、何ともうすぐ子犬が生まれるということでした。それからしばらくして、生まれたという連絡があったので、生後2週間目の子犬達と両親を見に行くために能登の七尾を訪れました。ミルキーが生まれたのが12月9日なので、12月も末となり、七尾も底冷えがして寒かったことを覚えてます。どうせ行くならと、氷見の品のいい旅館に泊まって越前カニを食べてきました(ミルキーが来たら、そんな旅館には泊まることはできないでしょうから)。 さて、Tさん夫婦にはとても歓待していただきました。ミルキーの両親にも熱烈歓迎してもらえました。父親のサムソンはシェパードらしく警戒心がありますが、雄々しく、とても立派でした。彼の大きなケージにお邪魔したら、大きな口でふんわりと腕をくわえて、大好きですよと感情表現してくれたので感激しました(サムソンは翌年不慮の事故で亡くなりました。とても残念です。)。 母親の優優にはびっくりしました。とても美人で優雅だったんです(写真ではその美しさが全然表現できてませんが)。それにとてもフレンドリーでした。肝心の子犬達はとても小さくて、目も開いていません。でも、両親の姿、性格がいいことから、子犬を譲り受けようと決心しました。生後1ヶ月になったら、譲り受ける子犬を決めることを約束して、帰京しました。 翌年1月に再び七尾を訪れました。その年は雪が多くて、ただでさえ東京から7時間ほどかかるので、大変でした。子犬はみんなころころしていて、我先に駆け寄ってきます。足腰が固まっていないので、よちよちしてましたが、兄弟姉妹でじゃれあっています。寒いので、伏せている母親の背中に乗ろうとします。3頭、4頭くらいはいいのですが、次の子が乗ろうとするとバランスが崩れ、みんな落ちてしまうのが微笑ましいのです。母親の優優は、「子供たちなんか相手にしないで私と遊びましょうよ。」としつこく誘うので、なかなか子犬を選べません。 サムソンは長毛気味で、優優はスタンダードの毛の長さでしたが、長毛のほうが好きなので、メスの長毛2頭に絞り込みました。そして、Tさん宅に一泊お邪魔して、やっとミルキーを決めることができました。近くのホームセンターで買った猫の首輪をつけ、引き取るまでミルキーと呼んでもらうことにして、帰宅したのです。 |
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他の子犬が、猫の首輪を着けたミルキーに気づいて、「何を着けてるの?」と点検している情景です。優優が優しくミルキーを舐めてあげてます。 |
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