寄附金税制


   1.国 税                                                               

出所 1. 税制調査会提出資料(財務省作成)
2. 財務省「税制改正」リーフレット(平成20年6月)
3. 財務省「暮らしの税情報・平成24年度版」
○ 寄附金に関する税制(国税)の概要
   

寄附金の区分


寄附をした者の税制上の取扱い
国・地方公共団体
に対する寄附金
指定寄附金 特定公益増進法人
に対する寄附金
(特定公益信託への信託は、
これに準じます。)
認定NPO法人等
に対する寄附金
・公立高校
・公立図書館  など
・国宝の修復
・オリンピックの開催
・赤い羽根の募金
・私立学校の教育研究等
・国立大学法人の教育研究等     など
・独立行政法人
・地方独立行政法人
・日本赤十字社などの特殊法人
・公益社団・財団法人
・学校法人
・社会福祉法人     など
・特定非営利活動を行う法人(NPO法人)のうち一定の要件を満たすものとして所轄庁の認定を受けた認定NPO法人
・国税庁長官の認定を受けた旧認定NPO法人
・認定には有効期間があります。
 所 得 税           1.寄附金控除〜「特定寄附金−2千円」を所得から控除
              注 総所得の40%相当額を限度
          2.震災関連寄附金がある場合〜
              震災関連寄附金以外の寄附金(総所得の40%相当額が限度)に加え、
              震災寄附金との合計が総所得の80%相当額まで認められます。         
          3、寄附金特別控除(税額控除)〜寄附金控除とくらべ有利な方を選択できます。後掲の別項参照。
 法 人 税 全額損金算入 一般の寄附金(注1)とは別に、次のどちらか少ない金額が損金算入
1.寄附金の合計額
2.特別損金算入限度額:(資本金等の額の0.375%+所得金額の6.25%)×1/2
 相 続 税 国、一般の公益法人、認定NPO法人等に寄附した相続財産は、原則として非課税(注2)
1.一般の寄附金とは、法人の支出する寄附金のうち、国等に対する寄附金、指定寄附金、特定公益増進法人及び認定NPO法人に対する寄附金以外のもので(資本金額等の額の0.25%+所得金額の2.5%)×1/4を限度として損金算入される。
2.被相続人が遺言により公益法人、認定NPO法人等に寄附した財産については、原則として相続税は課税されない。
            
○ 公益法人制度改革への対応 〜 平成20年12月1日から適用
公益社団・財団法人: 民間が担う公益活動を支えるため、優遇措置を整備
収益事業から生じた所得に課税することとした上で、公益目的事業から生じた所得を非課税とする。
公益目的事業の実施のために使用される収益事業からの繰入れについては、全額損金算入可能とする。
特定公益増進法人として、寄附金優遇措置の対象とする。
一般社団・財団: さまざまな態様の法人に対応する税制を整備
非営利性が徹底された法人や共益的事業を行うことを目的とする法人は、収益事業から生じた所得に課税する。
それ以外の法人は、全ての所得に課税する。
現行の民法34条法人: 移行するまでの間は、現行の措置を継続する。
○ 所得税の寄附金特別控除(税額控除)〜注
政党等寄附金特別控除 政党等に対する寄附金−2千円の30%
認定NPO法人等寄附金特別控除 認定NPO法人等に対する寄附金−2千円の40%
公益社団法人等寄附金特別控除 公益社団法人等に対する寄附金(一定の要件を満たすもの)−2千円の40%
特定震災指定寄附金特別控除 特定震災指定寄附金−2千円の40%
注1.1〜3の寄附金の額の合計は、原則として総所得の40%相当額が限度
注2.1の特別控除は、所得税額の25%相当額が限度
注3.特定震災指定寄附金とは、認定NPO法人等または中央共同募金会に対して、東日本大震災の被災者支援活動の費用に充てるために行った寄附金で、一定の要件を満たすものです。
○ 控除を受けるための手続
所得税〜寄附に関する証明書類を添付または提示し、確定申告が必要
法人税〜確定申告書に金額を記載し、寄附金の明細書を添付するとともに、書類の保存が必要

(130501更新)

   2.個人住民税

出所:総務省ホームページ「寄附金税制」

個人住民税(都道府県民税、市区町村民税)の寄附金控除は、平成21年税制改正で大幅な拡充が行われました。平成20年中の寄附金から適用されます。
平成27年の税制改正で、ふるさと納税に関し次の二つの改正が行われました。
  1.ふるさと納税枠を約2倍に拡充
  2.手続の簡素化(「ワンストップ特例制度」の創設 

    ○ 寄附金税額控除の対象寄附

*  都道府県、市区町村に対する寄附金〜(ふるさと寄附金) 
*  住所地の都道府県共同募金会・日本赤十字社支部に対する寄附金 
*  国の控除対象寄附金のうち、都道府県・市区町村が条例で指定する寄附金 
    国に対する寄附金および政党等に対する政治活動に関する寄附金を除く 
*  認定NPO法人以外のNPO法人に対する寄附金で、条例で個別に指定する寄附金 

    ○ 税額控除額

基本控除額   
  (寄附金(注1)−2千円)×10%(注2) 
    注1:総所得の30%を限度 
    注2:条例で指定する寄附金の場合は、次の率により算出
   ・都道府県が指定した寄附金は、4%
   ・市区町村が指定した寄附金は、6%
   ・(双方が指定した寄附金は、10%となる。) 
特例控除額(注3) 
  (寄附金−2千円)×(90%−0〜40%{寄附者に適用される所得税の限界税率}) 
    注3:ふるさと寄附金にのみ適用され個人住民税所得割額の2割を限度 

    ○ 都道府県・市区町村への寄附は、上掲のとおり特例控除が上乗せされる。

納税者が都道府県・市区町村への寄附を行った場合、基本控除のほか特例控除(住民税額の2割が上限)が上乗せされて控除される。
結果として、所得税の寄付金控除と合せると、特例控除が最も多い場合で、当該寄附金から2,000円を引いた金額が税額から差し引かれることになる。

        ☆ モデルケース
             給与収入700万円の人(配偶者を扶養)が都道府県・市区町村に3万円寄附した場合
             (所得税の限界税率が10%、住民税所得割額が371,500円)

控除対象 下限額2,000円を引いた2万8,000円 
住民税の基本控除(税額控除)  10%で2,800円 
所得税の寄付金控除(所得控除) 2万8,000円に税率20%を乗じ、5,600円 
住民税の特例控除(税額控除) 90%−20%=70%
対象額2万8,000円に70%を乗じ、1万9,600円。
住民税所得割額の2割は7万4,300円なので、限度額内 
合計控除額 上記2、5の合計、2万2,400円 

    ○ 手続き    1.個人住民税の控除は、寄附をした翌年度の個人住民税から控除

個人住民税の寄附金控除の適用を受けるためには、申告が必要です。
毎年1月1日〜12月31日までに行った寄附について、翌年3月15日までに、最寄りの税務署に所得税の確定申告をします。その際、寄附先からもらった領収書などを申告書に添付します。

               2.ふるさと納税ワンストップ特例制度(平成27年4月1日以降に行うふるさと納税が対象)

確定申告の不要な給与所得者等がふるさと納税を行う場合、確定申告を行わなくても、ふるさと納税の寄附金控除が受けられます。
特例の申請には、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内で、ふるさと納税を行う際に各ふるさと納税先の自治体に特例の適用に関する申請書を提出する必要があります。
特例の適用を受ける人は、所得税からの控除は行われず、その分も含めた控除の全額が翌年の6月以降に行う住民税の減額という形で控除が行われます。

      (151028更新)