わたしはアマチュア音楽家ですが、こと機材に関してはアマチュアの音楽仲間からは「玄人好みだね」とか「シブいね」とか言われます。しかし、これら機材に関わらず、物の本質を理解し始めると、結局玄人好みするものになってしまうのではないでしょうか。あなたは同じ値段のスイス・アーミーナイフと、日本の、職人の手仕事による鋼の筋の通った包丁、どちらを買いますか?
Roland / MC-500MkII |
MC-50を使っていたにもかかわらず、旧機種であるMC-500MkIIに替えたのは、そのデザインが玄人くさかったという点と、本体メモリに読み込めるメモリの量がMC-50よりも多かったからで、SMF全盛の今でもファイルコンバーターを使ってデータのやり取りをしているくらいいい相棒です。 |
Roland / PAD-80 |
オクタパッドIIの名称の方がわかりやすいでしょう。僕がこれを買ったのはごく最近です。何で音源つきの最近の機種を買わなかったか?これのほうがデザインがいいと思ったので。最近の機種って、この頃のよりもなんか安っぽい感じがするし。 |
KORG / WAVESTATION シリーズ |
他の欄で触れましたが、わたしはシンセ型人間です。プレイバックサンプラー型シンセは嫌いですし、かといって意識的に古臭さを呼び起こすモデリングシンセも好きにはなれません。これら機種はちょうどその中間に位置する、プレイバックサンプラーでもなく、モデリングでもなく、という、本当の意味での「デジタルシンセサイザー」だと思います。悪く言えば「どっちつかず」「中途半端」という言葉でくくられてしまうタイプですが、逆に言うとこういったシンセほど「玄人受け」するとも言えます。これらがアマチュアミュージシャンに受けないのは、欲しい音を得るためのエディットにかかる時間が尋常ではない、ということに尽きると思います。なので中古市場でも安いのです。アマチュア音楽家は音楽や音色作りが仕事ではないため、一日の中でエディットに費やす時間が限られてしまいますが、プロは広い意味で「音作り」が仕事です。シンセのプログラミングに関してアマチュアよりも豊富な(と言うよりは濃密な)時間を過ごせることでしょう。そこから生まれる数多くの音色は、決して「プレイバックサンプラー」からは得られないものです。その結果プロはこういうものを「いいシンセだ」と言い、多くのアマチュアは「面倒くさい」と言い敬遠します。日曜音楽家の一般論では、そんな音作りの自由度の高さよりも、1000や2000のプリセットの中から自分のイメージに近い音色を探し出せるほうが「いいシンセ」なのです。しかし、WAVESTATION、K5000と同じカテゴリーにありながらもRolandのJD-800が「ネオ・ヴィンテージ」としていまだにアマチュアからもプロからも支持を集めるのは、その多くのつまみ(スライダー)により、直感的な操作が可能(何かしらつまみをいじればはっきりと変化が聞き取れる)だからです。 |
KAWAI / K5000シリーズ |
|
E-mu / ESi-4000 |
これも結局玄人くささかな。AKAIとかRolandのサンプラー使ってるって言うよりは、E-muのサンプラーを使ってるよ、って言う方がかっこいいじゃない。それに、イーミューは音が粗いって言う話をよく聞くけど、わたしにはわかりません。昔、ローランドのS-330っていうのを使っていたけど、サンプリングレート低い割には充分いい音してたし、普通に聞いたくらいじゃわからないよ?S-330は高音が出ないのでこもる感じするのはわかるけど。そこまでオーディオマニアな耳を持っていないし、結局、「立つ音」と「引く音」を使い分けられればそれでいいので、仮に粗くても正直どうでもいいことです。だからイーミュー。 |
わたしは包丁を買います。