サンプラー買っちゃいました

そもそも僕は必要な音色は自分で作る、「シンセサイザー型」人間でして、「サンプラーなんか要らない」派だったんですけど。
人間、歳を取るにつれて脳みそのフォロー具合がいいかげんになってきます。「やっぱサンプラーもいいな」目的は自分のドラムの音をサンプリングすることです。

いつものようにネット散歩をしていた僕はふと一つの機材に目をとめます。AKAIのサンプラー、S2800iというものでした。「次の獲物」です。しかしすぐに、サンプリング可能な秒数とサンプリングするべき音の種類の多さの問題にぶち当たりました。スネアひとつとっても少なくとも弱、中、強の3種類、演奏方法によってはもう1、2種類の音が必要です。タムは高い音のタムとフロアだけを使って、ピッチをずらすとして、ハイハットやクラッシュ、ライドなどのシンバル類は表情を出そうとなると一音色当たり3秒や4秒では済まないでしょう。このサンプラーの標準メモリは8M。全ての音をサンプリングしていたらサンプラーいじり初心者の自分にはとても足りない。また、拡張メモリが専用のものを使うということで、専用=高いので断念。店頭調査時最安で28000円+メモリでは中古で集めても結局4万近くなります。それならもうちょっと高くても拡張性のあるサンプラーを、ということで、同社のもう一つ上の機種、S3000XLに目をつけました。これならふつうのSIMMメモリを使えるし、ほとんど必要な機能がついています。そうと決まったら中古屋巡りで実物を拝見です。

僕の場合、ネットではあまり買い物をしません。実際に自分で「あーでもない、こーでもない」と散々悩み、歩き回った後に持って帰る充実感がたまらなく好きだからです。しかし人ごみは嫌いです。ということで調べ物、買い物はもっぱら平日の昼間に行われます。そしてそこにはありました。S3000XL。しかしです。その隣に、なんと同価格帯で、気になるメーカーのロゴが僕の目に留まってしまいます。サンプラーの老舗、E-muです。音源かと思ったらサンプラーではありませんか。S3000XLと同じ値段でE-muのサンプラーが・・・全くのノーマークだったメーカーの出現に「玄人くささ」好きの僕の胸がときめかないわけがありません。

E-muのESI-4000という品物です。見つけた所はこれまた自分的にはノーマークだったお店、LAOX楽器館の中古売り場です。値段は49800円。かなりの美品です。この値段をどう評価しますか?参考までにモダントゥールスでは、状態の違いこそあれ2002年1月10日現在38000円で出ています。また一方では、YAHOOのオークションでその一つ下の機種、ESI-32が1月14日現在3万5千円にまで跳ね上がっています。しかし、サンプラーいじり初心者の僕にとっては後述のある理由からLAOX楽器館の方に魅力を感じたんです。下表での比較対象は同価格で出ていたAKAIのS3000XLとRolandのS760です。以下のスペック比較は自分が特に気にして比較していた部分で、他にも液晶表示部分(S760やS3000XLの方が細かい表示ができる)や寸法(ESI-4000は奥行きが長くないのでケースを選ばない)などの違いがありますが、自分的にはどうでもよかったところです。

同価格帯中古サンプラー店頭調査時スペック比較
E-mu/ESI-4000 AKAI/S3000XL Roland/S760
標準搭載ドライブ 100MZip 3.5"FDD 3.5"FDD
標準メモリ 4M 2M 2M
最大メモリ 128M 32M 32M
調査時搭載メモリ 32M(現在は128M) 32M 18〜32M
最大同時発音数 64音(ステレオ32音) 32音 24音
SCSI ○(フルピッチ50ピン) ○(D-subハーフ50ピン) ○(D-sub25ピン)
デジタル入出力 ×(オプションにより可) ○(標準搭載?) ○(オプション搭載)
アナログ出力 メイン2+サブ2 メイン2+8パラアウト メイン2+?(未調査)
その他いいところ 2万相当?CD-ROMx8
標準で付属?のZipx1
標準で付属?のFDx2、
MIDIファイルプレイヤーにも
テレビで作業可能、
標準で付属?のFDx3
パソコンとの連携 ○(Win、Mac共にエディット、読み書き用のソフトなど別途必要)

ある理由。後で知ってびっくりすることになるんですが、僕が買ったESI-4000についていた、E-mu純正のサンプリングデータのCD-ROM(E-mu Library Vol.1〜8)は普通に買うと一枚あたり定価で1万8千円。正規ユーザーには8枚で2万円で売られていたり、本体購入時におまけでついていたらしい。まあ、デジタル入出力がないのは一瞬考えたけど、なくてもSCSIがあればデジタルによるサンプリングも可能だろうと思うと、それを補って余りある標準搭載ドライブ、最大メモリ容量、最大同時発音数などのアドバンテージがあったので、すでに気持ちはESI-4000に傾いてはいたんですが、正直言って最終的に僕の背中を押したのはこのCD-ROMの「おまけ」で、仮に使えないデータばかりでも売ってしまえばその分本体の値段が更に安くなると思いました。しかし、かなり使えるデータが多かったんでめちゃくちゃお得だったのでは、と思います。

しかしこの時点で、僕はすでに本来の目的「自分のドラム音のサンプリング」から大きく飛躍しすぎていることにも気づいていました。現在の目的ならばはっきり言ってESI-32や中古屋で安く売られていたもう一つのESI-4000で充分だし、コスト的にもリーズナブルなのです。しかし、1万円の違いで「ひょっとしたら将来的にやるかもしれないそれ以上のこと」もできると考えると、ESI-4000の将来性に賭けてみたくなるのです。それは今までの買い物でも何度かあった「下位機種を買ったための失敗」、アウトレットだからと一つ前の機種を買ったら、その直後に似たような値段でオプション装備済の後継機種が出て、結果的にはアウトレットでかえって高くついたりというパターンを何回か経験したためで、そうするとESI-4000の、最大で128Mの搭載メモリ容量なら、サンプラーとしてはかなり息の長いものになるのではないか、という展望が1万円の「投資」につながりました。

そして今、僕のラックケースの一角にはESI-4000が収まり、活躍を始めています。

念のために言っておきますが、今回は考えが飛躍して高くなった買い物の一例です。しかし、逆に安くなった買い物というのもあるわけで(SC-55買うつもりで行ったら、もっと実用的なSC-33で落ち着いていた、など)、これもやはり実物を確認しながらの買い物の悩みの一つとして、僕としては大いに楽しんでいる。


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