2004年7月5日


今日の曲
アーティスト名 曲 名
マイク・オールドフィールド タウラスII
バカな壁

僕の嫌いな質問をいくつかご紹介。

 ここ数日の間、こんな質問を立て続けにされました。「パソコンって、何が出来るの?」
はじめのうちは「ああ、またか(にこにこ)」的な感じで「あなたがやりたいと思ったことは大体なんでも出来ます。」と答えていたんですが。同じような質問を何度もされていくうちにいいかげん腹が立ってきて、「あなたは何が出来ますか?」という、質問を質問で返す暴挙に出てしまい、相手を困らせたり。しまいには「あなたが出来ないことも全部出来ますよ」とか言ってみたり。結局使うのは人間なんだから、その人が考えた範囲のことは何でも出来るとしか言いようがないじゃない。パソコンだって飛び降り自殺も出来れば服毒自殺だって出来る。あなたが出来ないことだってやってのけてしまう。皮肉ではあるが、真実でもある。しかしそれにはやはりどこかしらで人間の手助けがいるわけです
 人間がやりたいと思ったこと、人間が出来ないと思ったことの両方が人間がいないと出来ないなんて。

 そんな伏線があった数日後、知人との会話で、最近、曲を作ってるんだよ、という話をしたんですが、そのときこんな質問をされました。

「へぇ〜。何系?」

 そのあとのわたしのとった行動は、忘れようにも思い出せません。ただはっきりと覚えているのは、さわやかなアロハシャツを着ていた彼に向かって「じゃあ聞くが、お前はアキバ系か?」と質問し返したこと。シラフのわたしが、酔っ払いの友人に連れられてタクシーで帰っていたこと。

 ああ、残念ながら、わたしは営業向きではないようです。作曲をたしなみますが、その曲についてロックだ、ポップだ、などという説明は何一つ出来ません。ここのフレーズがどうとか、コード進行がどうとかなら、まだ何とかなるんですが。だいいち「その曲が何系か」なんてわかるほどの知識がその相手にはあるのか自体疑問ですし、言ったところでそれほどの理解もされず、聞いた本人もほとんど興味がなかったりするのが実際です。
 一晩寝てこう思ったんですよ。作曲って、曲を作る時点では”何系”なんてないじゃん。って。
作曲というのは、あくまでも曲を作る作業であって、その後のことは”編曲”という作業になります。その、”編曲”の段階で、彼らの言うところの”何系”かがはっきり現れて来るんだと思うんです。”作曲”という言葉に対しての大きな誤解がとんでもない敷居の高さを生み出しているのかも知れません。コード進行を知らなくたってドレミの羅列さえすればだれでも出来るのが作曲です。それにコード進行や各楽器の譜割りなど、ただのドレミの羅列を一つの作品に仕上げる作業は編曲です。作曲なんて、個人のセンスの差はあれど誰にでも出来てしまう作業です。
 自分が聴いている音楽について、何々系と言い切れるあなたは営業職です。答えられないあなたは芸術家です。きっと。
言い切れるあなたは行列の出来るお店を好みます。答えられないあなたはその隣のお店に入ってもおいしいものを食べることが出来ます。きっと。
もし、世界中の音楽で自分の知らないものはないと言う方がいて、僕の機嫌がよかった場合こう答えたことでしょう。「マイク・オールドフィールドの”アマロック”の3分過ぎたあたりからビル・ブラッフォードがパラディドルを駆使したポリリズムで絡むのを嘆いたトニー・バンクスが必死に6/8拍子を取ろうとしている系」さあ、想像してください。そこまで導くように言っても人のアウトプットというのは一定のものにはならないというのに、「何系?」と聞かれたわたしはなんと答えればよかったんでしょうか。

「銀河系あたり?」

 これから機嫌のいいときはこう答えられるように努力します。質問者と回答者の哲学的嗜好までも満たしてくれる、素敵な答えだと思いませんか。

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